朝の慌ただしい時間、ふと考える。「今日は時間がないから、下地を飛ばしてリキッドファンデーションだけで済ませてもいいかな?」と。多くの人が一度は抱いたことのある疑問だろう。結論から言えば、リキッドファンデーションは下地なしでも使うことは可能だ。しかし、「可能」と「おすすめできるか」は、また別の話である。今回は、リキッドファンデーションを下地なしで使うことのメリット・デメリット、そして賢い使いこなし方について、コラム風にじっくり掘り下げてみたい。
リキッドファンデーションの役割とは?
そもそも、リキッドファンデーションの基本的な役割は「肌色を整え、肌を美しく見せること」にある。カバー力が高いタイプもあれば、ツヤ感を重視したもの、ナチュラルな仕上がりを追求したものもあるが、いずれも「見た目」を美しく演出するために作られている。
一方、化粧下地の役割は、肌表面をなめらかに整えたり、ファンデーションの密着を高めたり、皮脂崩れを防止したりすることだ。つまり、リキッドファンデーション自体に「下地の機能」は基本的には備わっていない。だからこそ、下地を使わないと、ファンデーションの持ちや仕上がりに影響が出ることがあるのだ。
下地なしで使うメリットとは?
とはいえ、下地なしでリキッドファンデーションを使うメリットも存在する。ひとつは、時短になること。忙しい朝にメイク工程をひとつ減らすだけで、気持ちにも少し余裕が生まれる。
また、肌への負担を減らしたい人にとってもメリットがある。化粧品を塗り重ねるほど、肌への刺激はどうしても増えてしまう。敏感肌や、肌が疲れていると感じる日には、下地を省いてシンプルに仕上げることで、肌への負担を軽減できる可能性もある。
さらに、最近では「下地機能を兼ね備えたリキッドファンデーション」も増えている。保湿効果、毛穴カバー、UVカットなど、下地なしでも一定のベースメイク効果が得られるタイプもあるため、選び方次第では下地を使わなくても満足のいく仕上がりを手に入れることができる。
では、なぜ「下地あり」が推奨されるのか?
それでもなお、多くのメイクアップアーティストや美容部員が「下地は使うべき」と推奨するのには、きちんと理由がある。まず、仕上がりの美しさが格段に違うからだ。
化粧下地は、肌の表面を均一に整え、毛穴や小ジワを目立たなくする効果がある。そのため、上に重ねるリキッドファンデーションがムラになりにくく、よりなめらかで洗練された仕上がりが叶う。特に、肌の凹凸や色ムラが気になる人にとっては、下地の力は大きな武器となる。
また、ファンデーションの持ちにも大きく影響する。時間が経つとファンデーションがよれたり、毛穴落ちしたりする原因のひとつが「肌とファンデーションの密着度の低さ」だ。下地を使うことで、リキッドファンデーションの密着度が高まり、化粧崩れを防ぎやすくなる。
さらに、UVカット効果のある下地を併用することで、紫外線対策の面でも安心感が増す。ファンデーション単体で十分なUV効果がない場合は、特に注意が必要だ。
「下地なし派」のための心得
それでも「やっぱり今日は下地なしで行きたい」という日もあるだろう。そんなときは、以下のポイントを意識してみてほしい。
- スキンケアをしっかり整える
化粧下地の役割の一部を、スキンケアでカバーするイメージだ。保湿をしっかり行い、肌表面をなめらかに整えておくと、ファンデーションがきれいにのりやすくなる。 - リキッドファンデーションは薄く重ねる
下地なしの場合、ファンデーションが直接肌に触れるため、厚塗りするとムラや崩れの原因になる。少量を薄く伸ばし、必要に応じて重ねるのが基本だ。 - フェイスパウダーで仕上げる
仕上げに軽くフェイスパウダーを重ねると、べたつきを抑えられ、化粧持ちも向上する。下地なしのときこそ、パウダーの力を借りたい。 - 下地効果のあるファンデーションを選ぶ
「美容液ファンデーション」「UVカット効果あり」「毛穴カバー機能つき」などの機能性リキッドファンデーションを選べば、下地なしでもある程度の仕上がりが期待できる。
結局、下地は「使う?使わない?」
リキッドファンデーションを下地なしで使うことはできる。ただし、その場合は、スキンケアや使用アイテムの選び方を工夫しなければ、理想の仕上がりや持ちを得るのは難しいかもしれない。逆に言えば、しっかり準備すれば、下地なしでも十分に美しいベースメイクは可能だ。
ライフスタイルや肌の調子、その日のスケジュールに合わせて、「下地を使う日」と「下地を使わない日」を使い分けるのも、現代女性らしい柔軟な選択肢だろう。何より大切なのは、「今の自分に必要なものは何か」を自分自身で選び取ること。メイクは、自分を縛るものではなく、自由に楽しむためのものなのだから。
今日、あなたはどちらを選ぶだろう?
下地ありでパーフェクトを目指すか。
それとも、下地なしで軽やかに、素肌に近い自分を楽しむか。
どちらを選んでも、あなたらしさを引き立てるメイクを――。